【コラム】:慰謝料(22)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
3 後遺症
(1)被害者本人の後遺症慰謝料
⑮ 自賠責法の後遺障害に至らないか該当しない事例(1)
・ 消防士(固定時54歳,歯牙障害12級(14級の加重))につき,自賠責基準に達しない手指及び肩関節の機能障害,自賠責認定基準のない深視力(立体視能力)も喪失しており,労働能力喪失率15%,傷害分235万円,後遺障害分300万円を認めた。
・ 頸椎後縦靱帯骨化症で通院治療中の無職(66歳,頸椎捻挫,右肩打撲非該当)につき,逸失利益の請求はなかったが,事故後神経症状が悪化し,生活等への支障も生じていること,本件事故が医師から禁止されていた首への強い衝撃であることから,神経症状悪化を後遺障害として評価するのが相当として,後遺障害慰謝料110万円を認めた。
・ 小学生(固定時8歳)につき,加害車両に右大腿部を轢過されたことによる右大腿骨骨折後の下肢醜状が,自賠責後遺障害等級上の外貌には該当しないものの,軽視できない苦痛を与え続ける醜状痕であるとして,傷害分250万円のほか,外貌醜状の標準的な慰謝料額の3分の1程度を認めるべきとして,100万円を認めた。
・ クラブホステス(事故時30歳,神経症状14級,醜状障害下顎付近に2ミリ×2.5センチ,頸部4ミリ×1.5センチで非該当)につき,傷害分160万円,後遺障害分140万円を認めた。
・ 会社員(固定時32歳,右前頭部線状痕の外貌醜状非該当,左大腿部痛・腰痛の神経症状12級,股関節機能障害12級の併合11級)につき,顔面の線状痕は労働能力喪失率の算定では考慮できないが,周囲の視線が気になるなど対人関係等に消極的になる可能性は否定できず,後遺障害慰謝料の増額事由として斟酌し,傷害分297万円,後遺障害分500万円を認めた。
・ 被害者(年齢不明)につき,14級には該当しない程度の身体(首,肩,腰)の痛み及び精神症状(不安,不眠,交通状況による不安と回避等)の症状は症状固定後もなお残存するから後遺障害だとし,症状経過(治療開始約8ヶ月20日)や程度等から,後遺障害分50万円を認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。