【コラム】:慰謝料(2)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
1 死亡慰謝料
(1)母親,配偶者
・ 有職(公務員)主婦(30歳)につき,横断歩道上を歩行中の事故で,事故後帝王切開により分娩した後,死亡したことを勘案し,夫1500万円,子2人各750万円,父母各100万円,合計3200万円を認めた。
・ 有職主婦(53歳)につき,運転者及び会社のほか,運転者の極度の疲労状態を認識しながら乗車を止めさせなかった会社の運行管理者及びその代務者,適切な是正措置を行わなかった労務管理者にも不法行為責任を認め,死亡に至る態様が極めて凄惨で残酷なこと,居眠運転で追突したことなどから本人分2700万円,子2人各200万円,母100万円,合計3200万円を認めた。
・ 主婦(39歳)につき,本人分2200万円,夫及び子各200万円,父母各100万円,合計3000万円を認めた。
・ 主婦(39歳)につき,本人分2200万円,夫250万円,子250万円,両親各150万円,合計3000万円を認めた。
・ 主婦(55歳)につき,本人分2400万円,夫及び子各200万円,父母各100万円,合計3000万円を認めた。
・ 専業主婦(42歳)につき,一つの事故で2歳の子(次男)もほぼ同時期に死亡したこと等を考慮し,母親本人2400万円,次男本人分2000万円,夫400万円,長男400万円,合計5200万円を認めた。
・ 家業を手伝う主婦(59歳)につき,本人分2400万円,夫200万円,子3人各100万円,両親各50万円,合計3000万円を認めた。
・ 専業主婦(34歳)につき,本人分2200万円,夫200万円,子2人各200万円,実父母と義父母各20万円,合計2880万円を認めた。
・ 有職主婦(32歳)につき,加害者が公判廷で謝罪したいと述べながら結局謝罪せず,さらに裁判所から示唆を受けたにもかかわらず謝罪しなかったことなどから,本人分2400万円,夫200万円,両親各150万円,合計2900万円を認めた。
・ 保育士(女31歳)につき,本人分2500万円,夫200万円,子200万円,父母各100万円,合計3100万円を認めた。
・ 主婦(70歳)につき,本人分2400万円,夫200万円,子2人各100万円,合計2800万円を認めた。
・ 高次脳機能障害(9級)の兼業主婦(65歳)が,脳損傷に起因する希死念慮を伴ううつ病に罹患して自殺した場合に,傷害慰謝料240万円,後遺障害慰謝料690万円のほか,死亡慰謝料につき,2200万円を認めるのが相当とした上で,2200万円から690万円を控除しった1510万円について,自殺に対する寄与度減額(50%)を行い,755万円を認めた。
・ 事故の7日後から病院臨時職員(雇用期間6か月,更新あり)に採用が内定しており,小学生の子2人と同居して養育する家事専従者(女・事故時32歳,死亡時33歳)につき,傷害分17万円のほか,本人分2400万円,子2人各200万円,合計2800万円を認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
慰謝料は,ご遺族の過ごしてきた関係,どれだけ愛情をもって接してきたかによって大きく増加いたします。
個々のご遺族の無念さを考慮した慰謝料額で解決をすることが大切になりますので,適正な慰謝料での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。