【コラム】:慰謝料(16)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
3 後遺症
(1)被害者本人の後遺症慰謝料
⑧ 8級の事例
・ 被害者(10歳,右眼失明8級,頭部手術根(6.5cm×19.5cm)等)につき,1000万円を認めた。
・ 被害者(44歳,右膝関節障害10級,右脚関節障害12級,右下肢醜状障害12級の併合8級)につき,右大腿部開放骨折,右膝前後十字靱帯断裂で症状固定までの2170日間に415日入院,1254日通院したことから,傷害分440万円,後遺障害950万円を認めた。
・ アルバイト(19歳,人工肛門,骨盤骨変形等併合8級)につき,女性でありながら生涯にわたり人工肛門を装着しなければならないこと,骨盤骨の変形により通常分娩が困難であること,腹部等に複数の醜状痕を残していること等から,傷害分280万円,後遺障害分1200万円を認めた。
・ 小学生(事故時11歳,足指の機能障害9級,左足瘢痕12級の併合8級)につき,後遺障害の内容が多岐にわたり,かつ重篤で経過観察や継続治療を要し,今後も手術を繰り返す可能性があること,醜状のため素足になることが困難であることなどを考慮して,傷害分368万円,後遺障害分996万円を認めた。
⑨ 9級の事例
・ 会社代表者(固定時58歳,右股関節,右膝関節及び右脚関節の可動域制限準用10級,右足関節の変形12級,右下肢の短縮障害13級,右下肢の醜状痕・植皮術後瘢痕12級の併合9級)につき,750万円を認めた。
・ 会社員(固定時27歳,左肘関節の機能障害12級,右手指の関節機能障害11級,右脚関節の機能障害12級,右足指関節の機能障害11級,右下肢短縮障害13級,左手の痺れ等14級,左下肢の醜状障害14級,右下肢の醜状障害12級相当,PTSD14級の併合9級)につき,四肢に後遺障害があるにもかかわらず,右下肢のみで9級相当と評価される場合と同じ評価になり相当ではないとして,労働能力喪失率を45%としたうえで,傷害分570万円のほか,後遺障害分830万円を認めた。
⑩ 10級の事例
・ 被害者(8歳,右脚関節の機能障害,成長障害,左足関節部の植皮による瘢痕,採皮部・左肩甲部の瘢痕等11級)につき,傷害分140万円,後遺障害分560万円を認めた。
・ 看護師(固定時50歳,複視10級相当)につき,両眼の麻痺の場合には労働能力の喪失に与える影響は大であるとして,800万円を認めた。
・ 大学生(固定時22歳,左股関節機能障害12級,左膝関節機能障害12級,左足大腿部及び右脚大腿部の醜状障害12級の併合10級)につき,傷害分350万円,後遺障害分600万円を認めた。
・ 電車運転手(固定時45歳,右手関節機能障害12級,右足関節機能障害及び右母趾関節機能障害併合11級相当,左膝痛14級の併合10級)につき,逸失利益算定において減収が無いこと等から労働能力喪失率を定年60歳まで18%,以降67歳まで27%としたことを考慮して,傷害分250万円,後遺障害分800万円を認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。