【コラム】:休業損害について(給与所得者の算定方法)

2016-03-12

休業損害は生活に直結する大切な請求項目です。そこで,被害者の属性に応じた休業損害を連載させていただきます。

第1回は,給与所得者の休業損害です。

給与所得者の休業損害で問題になることが多いのは, ①算定方法,②有給を使用しても請求できるか,③症状固定前に退職しても請求できるか,④賞与の減額は請求できるか,⑤昇給遅れは請求できるかです。

まずは,①算定方法について説明させていただきます。

❶保険会社が行う算定方法,❷しまかぜ法律事務所が行う適正な算定方法に分けて説明させていただきます。
❶保険会社が行う算定方法
事故前3か月の総支給額(社会保険料などを控除しない)を90日(所定の休日含む)で割ったものを1日当たりの基礎収入とします。休業損害は,基礎収入×休業日数です。
❷しまかぜ法律事務所が行う適正な算定方法
適正な算定方法としては,Ⅰⅰ日額計算を勤務先所定の休日を含めない稼働日数で除して実労働日額を出した後に,ⅱ欠勤日数を乗じる方法か,Ⅱⅰ日額計算を勤務先所定の休日を含める90日で除して日額を出した後に,ⅱ全期間で乗じる方法が適正です。
休業が短期や非連続の場合はⅠの方法で算定し,連続して休業している場合はⅠの方法で算定します。

具体例を挙げて説明します。毎月20日稼働,月給20万円の被害者が,5日間だけ休業した場合の休業損害は次のとおりになります。
❶保険会社が行う算定方法
60万円/90日(所定の休日含む)×5日間=3万3333円
❷しまかぜ法律事務所が行う適正な算定方法
休業が短期であるのでⅠの方法で算定します。
60万円/60日(所定の休日含めない)×5日間=5万円

すなわち,❶保険会社が行う算定方法は,1日あたりの基礎収入を出すときは勤務先所定の休日を含めて算定するため,日額が不当に低額となり妥当ではないのです。

次の具体例として,毎月20日稼働,月給20万円の被害者が,2ヶ月休業(勤務先の所定の休日1ヶ月あたり10日)した場合の休業損害は次のとおりになります。
❶保険会社が行う算定方法
60日/90日(所定の休日含む)×40日間=26万6666円
❷しまかぜ法律事務所が行う適正な算定方法
休業が連続しているのでⅡの方法で算定します。
60日/90日(所定の休日含む)×60日間=39万9999円

すなわち,❶保険会社が行う算定方法は,1日あたりの基礎収入を出すときは勤務先所定の休日を含めて算定しましたが,休業日数を掛けるときだけ,所定の休日を含めないため,不当に低額となり妥当ではないのです。


以上のとおり,❶保険会社の算定方法は,❷しまかぜ法律事務所の算定方法でいうところの,Ⅰⅰ×Ⅱⅱであったり,Ⅱⅰ×Ⅰⅱであったりと,良いとこ取りにミックスさせて不当に低額です。

しまかぜ法律事務所は,休業損害を適正に算定し直して,適正な賠償額で交渉します。休業損害でお困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

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