【コラム】:死亡事故の自賠責保険金は一律3000万円ではありません
ご逝去を悼み,謹んでお悔やみ申し上げます。
ご家族の死亡事故は何度も経験するものではなく,保険会社との交渉もはじめてのことだと思います。保険の仕組みをご存じないのは当然のことです。そこで,ご遺族の方が,誤解されていることが多い点について,説明させていただきます。
自賠責から支払われる保険金は一律3000万円ではありません。上限3000万円です。
加害者の保険会社は,自賠責から回収した金額をエスカレーター式にご遺族に支払うだけで済ませようとすることがほとんどです(保険会社は自腹を切ろうとしません)。
そのため,ご遺族自身で交渉する多くの場合,自賠責から支払われる保険金≒保険会社の提示額となります。ご高齢の方がお亡くなりになり,ご遺族自身で交渉する場合,保険会社からの提示額は,2000万円にすら達しません。
では,自賠責の保険金はどのような基準で決まるのでしょうか。
自賠責の保険金として,①葬儀関係費用,②慰謝料,③死亡逸失利益が支払われます。
このページの目次
①(自賠責基準の)葬儀関係費用
60万円です。ただし,請求書,領収書などで60万円を超えることが証明できる場合は,上限100万円が支払われます。
②(自賠責基準の)慰謝料
慰謝料には,ⅰ被害者本人の慰謝料,ⅱご遺族の慰謝料があります。
ⅰ被害者本人の慰謝料
350万円です。
ⅱご遺族の慰謝料
被害者の父母,配偶者,子供の人数で異なります。
1人で550万円,2人で650万円,3人以上で750万円です。
なお,被害者に被扶養者がいる場合,さらに200万円が加算されます。
③(自賠責基準の)死亡逸失利益
(ⅰ被害者の年収-ⅱ被害者の年間生活費)×ⅲ就労可能年数によるライプニッツ係数=死亡逸失利益です。
ⅰ被害者の年収
有職者は,事故前年の年収or年齢別平均給与額(年額)の高い方です。
学生や主婦,無職者は,全年齢平均給与額(年額)です。
ⅱ被害者の年間生活費
被害者に被扶養者がいる場合は,年収の35%です。
被害者に被扶養者がいない場合は,年収の50%です。
ⅲ就労可能年数によるライプニッツ係数
就労可能年数は,原則として67歳までの期間です。
ライプニッツ係数は,就労可能年数に応じて決まっています。
具体的に,「60歳」「主婦」「両親・夫・子供2人あり」の方がお亡くなりになって,「葬儀関係費用150万円を要した場合」の自賠責保険金を計算してみます。
①(自賠責基準の)葬儀関係費用
100万円です。
②(自賠責基準の)慰謝料
ⅰ被害者本人
350万円です。
ⅱご遺族
3人以上で750万円です。
③(自賠責基準の)死亡逸失利益
ⅰ被害者の年収
全年齢平均給与額(年額)で,330万円です。
ⅱ被害者の年間生活費
330万円×50%=165万円です。
ⅲ就労可能年数によるライプニッツ係数
5.7864です。
(自賠責基準の)死亡逸失利益は,
(330万円-165万円)×5.7864=954万7560円です。
以上より,自賠責の保険金は,合計2154万7560円となります。
一方で,弁護士が交渉すると,①葬儀関係費用,②慰謝料,③死亡逸失利益の基準は,全く異なります。3000万円にとどまらず,適正な賠償額で解決ができます。
詳しくは「ご家族がお亡くなりになられた方へ」をご覧ください。
先ほどの,「60歳」「主婦」「両親・夫・子供2人あり」の方がお亡くなりになって,「葬儀関係費用150万円を要した場合」の弁護士基準での賠償額を計算してみます。
①(弁護士基準の)葬儀関係費用
150万円です。
②(弁護士基準の)慰謝料
合計2500万円が支払われることが多いです。
もっとも,しまかぜ法律事務所では,ご遺族の過ごしてきた関係,どれだけ愛情をもって接してきたかによって,更に増額しての解決を目指します。
③(弁護士基準の)死亡逸失利益
基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数によるライプニッツ係数=死亡逸失利益です。
ⅰ基礎収入
354万円です。
ⅱ(1-生活費控除率)
(1-0.3)=0.7です。
ⅲ就労可能年数によるライプニッツ係数
5.7864です。
(弁護士基準の)死亡逸失利益は,
354万円×(1-0.3)×5.7864=1433万8699円です。
以上より,弁護士基準での賠償額は,合計4083万8699円となります。
自賠責の保険金は,一律3000万円ではありません。ご高齢の方がお亡くなりになった場合,2000万円にすら達しないことは多々あります。保険会社からの提示額も自賠責の保険金とほぼイコールです。
しまかぜ法律事務所は,保険会社の提示金でなく,適正な賠償額で解決を行います。保険会社からの賠償額を2~3倍に大幅増額して解決してきた実績が多数ございます。弁護士費用をお支払い頂いても,ご遺族の手取りは大幅に増額します(多数の場合,手取りが2倍以上になります)。
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