【コラム】:慰謝料(48)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
5 慰謝料の増額事由
(2)被害者の親族が精神疾患に罹患した場合
・ 小学生(7歳)の死亡事故につき,本人分2500万円,自責の念に苛まれ悲しみのためカウンセリングを受ける必要があるまでに憔悴した母200万円の合計2700万円を認めた。
・ 小学生(8歳)の死亡事故につき,加害者は罰金前科3件,交通違反歴12件があり,過去2回の運転免許停止処分を受け,本件事故当時も3回目の運転免許停止中であったことから,本人分2250万円,事故を直接目撃しPTSDの診断・治療を受けた父300万円,事故後変わり果てた子の姿を目のあたりにしPTSDの診断・治療を受けた母300万円,弟の変わり果てた姿を目のあたりにし,その後,神経症等の精神疾患に罹患した姉150万円の合計3000万円を認めた。
・ 年金生活者(79歳)の死亡事故につき,本人分2000万円(入院11日の傷害分含む),被害者である父とサイクリング中に事故に遭遇し不眠等の精神症状が発症した同居の長女300万円,長男100万円の合計2400万円を認めた。
・ 祖父運転の乗用車に姉,従兄弟と同乗中の男児(6歳)につき,居眠り運転で中央線突破の普通貨物自動車に正面衝突され,同乗者3名を同時に失う悲惨な事故現場に遭遇し,不登校状態に陥ったこと,精神科医の心的外傷後ストレス障害の疑いで児童相談所における心理療法の継続が望ましいとの意見を示していること等から,慰謝料(ただし,男児が将来において心的外傷後ストレス障害の後遺症を残した場合の後遺症逸失利益及び後遺症慰謝料を除く精神的損害であって,被害者主張の傷害慰謝料158万円を含む)300万円を認めた。
・ 給与所得者(19歳)につき,本人分2300万円,被害者が3歳になった年から夫と別居,その後離婚し,高校を卒業し就職するまで2人で生活し,養育費の支払いがほとんどない中で養育し,被害者の死により,不眠,不安感,慈悲感などの死別反応の症状が見られ,神経症と診断され,通院加療を受けた母親400万円の計2700万円を認めた。
・ 年金生活者(66歳)につき,加害者に赤信号を看過した重大な過失があり,刑事裁判で不合理な供述・主張を続けたこと等に鑑みて,本人分2000万円,加害者の供述が一因となり双極性障害を発症し,勤務先を休職した子500万円,もう1人の子200万円の合計2700万円を認めた。
・ 大学生(死亡時21歳)の死亡事故につき,母は精神的に不安定になり,姉は心のバランスを崩し心療内科に通うようになったとして,本人分2000万円,父母各400万円,姉200万円の合計3000万円を認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。